「学に勉む」啓発録その④

こんにちは!高針台中学校前校の南です。3学期が始まってしばらく経ち、澄み渡る夜空に瞬く星が美しい季節になりました。体調を崩さぬよう十分気を付けてください。

さて、これまで啓発録に記されている5つの指針の内3つまで紹介してきました。「稚心を去る」、「気を振う」そして「志を立つ」。今回は4つ目「学に勉む」です。読んで字のごとく一番みなさんになじみのありそうなテーマですね。それでは解説します。

④『学に勉む』:学とは優れた人物の立派な行いを習い、自らもそれを実行してゆくことを言います。先人の忠義や孝行などの立派な行いを習っては、すぐにそれを真似し、自分も先人に負けないようにと努力することが学の一番の意味です。佐内はまた、後の時代になってその意味が詩や文を作ったり本を読んだりすることと誤解されていると述べています。学とは単に知識を詰め込むということではなく偉大な先人の行いを慕い真似し、自分も彼らに近づけるようにと努力することなのです。

橋本佐内が重視していたのは人間力なのです。彼は単に知識や技術を身に付けるだけでは優れた人物になれるわけではないということを今の中学生くらいの年齢のときにはすでに気づいていたのですね。人間力というのは簡単に言えば、人同士のつながりで成り立っているこの社会の中で、一人の人間として自立してたくましく生きていくために必要な総合的な力です。では具体的にはどんな力を身に付ければよいのでしょうか。実はシンプルなものばかりです。例えばあいさつは最も身近な例の一つでしょう。あいさつができる人とできない人どちらの人に良い印象を持ちますかと聞かれたらほぼすべての人があいさつのできる人と答えるでしょう。そこで、じゃあ自分もあいさつのできる人になろう!と行動を改めることが人間力を高めるということなのです。

他にも例を挙げ出したらきりがありませんが、例えば私が地下鉄を利用するときICカードを改札のセンサーにバシッと打ち付けるように当てている人をよく見かけます。本人は何気なくやっていることでしょう。しかし、これではカードの方も改札の方も傷んでしまいますよね。私は「あぁ、この人はものを大切に扱えない人なのかな…」と内心思ってしまうのです。ICカードくらいで…と思われる人もいるかもしれません。しかし、そういう細かい部分に人の素の部分が出るのではないでしょうか。

また違う例ですが、バスに乗ったときのことです。若い大学生くらいのグループでしょうか、終点の駅でみなが降りるときに、運転手の方に対して元気よく「ありがとうございました!」と言っている場面に出くわしました。これには私自身もハッとさせられました。そして、それ以降私も折を見て運転手の方にひとこと添えてバスを降りるようにしています。

身近なところにも尊敬の念をもって真似すべき行いは転がっているのです。自分ができていない部分は素直に認める、またできている人の行いを素直に真似てみる。そういう素直な態度が重要ではないでしょうか。