除夜の鐘の音に耳を澄まして、自分を省みる

こんにちは、匠ゼミナール代表の大久保です。いよいよ年の瀬となりました。みなさま、今年も1年ありがとうございました。2022年は終わりとなりますが、2022年“度”はこれからが佳境です。この年末年始で息を整えて、新年からまた走りだせるようにしていきましょう。

年末というと思い浮かぶのが、しんと静まり返った暗い夜に響くゴーン、という音…「除夜の鐘」ですね。昔はどこからともなく聞こえたものですが、最近は近隣への配慮として除夜の鐘を鳴らさないお寺さんも増えたので、「除夜の鐘という言葉は知っているが、聞いたことはない」という人も少なくないのかもしれません。なんとなく変わらないものだと思っていた伝統的な風景も、時代の移り変わりで徐々に様変わりをするものですね。

みなさんご存じだとは思いますが、除夜の鐘は仏教の伝統的な行事で、大晦日に108回鐘をつき人間が持っている108の煩悩を消す、という意味があります。では、人間が持っている煩悩にはどんなものがあるのでしょうか?

108個すべてについて話すことはできないので、今回は煩悩の中でも特に克服するのが難しいといわれる3つの煩悩、「三毒(さんどく)」に触れてみたいと思います。三毒は1つ目が「貪(とん)」、2つ目は「瞋(じん)」、3つ目が「痴(ち)」と言われ、まとめて「貪瞋痴(とんじんち)」と呼ばれます。

1つ目の「貪」は貪欲(とんよく※一般的には「どんよく」ですが仏教ではこう読むそうです)、あれがしたい、これが欲しい、という自分の目先の欲だけを考えて、周りを省みずに行動してしまうこと。2つ目の「瞋」は、瞋恚(しんに)、怒りや妬み、恨みといった感情をぶちまけ、周りを不快にさせること。3つ目の「痴」は愚痴(ぐち)、常識や周りの事情を考えず自分中心なことばかり言ったり、してしまったりすること。

人間ならだれでも心当たりがあるような事柄ですが、改めて「煩悩」「毒」と言われるとドキッとしますよね。三毒について詳しいことはネットで調べると僧侶の方の記事やブログがたくさん出てきますので気になる人は調べてみてもらいたいのですが、どの記事でも必ず「この三毒は、修行している僧侶でもなかなか捨てることのできない煩悩だ」ということが書いてあります。それほど、自己中心的な考え、振舞いというのは人間だれしもが無意識的に持ってしまうものなのです。

いま、今年1年を振り返ってみて、みなさんの中の「三毒」はどうだったでしょうか?身近な人、特に家族にぶつけたことはないでしょうか?多かれ少なかれ、きっとあるはずです。

「あの時あんなことを言ったけど、今考えるとよくなかったな」「自分勝手な態度をとってしまったな」そんな行動に思い当たるのであれば、いまからでも遅くありません、素直にきちんと謝りましょう。過去をなかったことにはできませんが、省みて、次に生かすことが大切なのです。

年越しになんとなくもやもやした気持ちを持ち越さないように、ひとつひとつ、心残りを消していきましょう。そうしてまた新たな気持ちで新年を迎え、軽やかに一歩を踏み出しましょう。みなさんにとって2023年が飛躍の年になりますよう、心より願っております。それでは、良いお年を。